医療法人慶祐会横浜血管クリニック林院長に
教えていただきました
- 医療法人 慶祐会 横浜血管クリニック
林 忍 院長 - 神奈川県内初の血管外科専門のクリニック。
下肢静脈瘤のレーザー治療、痛み最小限のシャント治療に加え、生活指導や漢方の処方など、その人のライフスタイルに合わせた的確な治療法が評判で血管疾患で悩む人が全国から訪れている。NHKをはじめテレビ・雑誌・WEB等メディアでの出演・監修実績も多数。
イラスト:水谷慶大
人間の体は、心臓から血液が全身の細胞へ動脈という道を使って酸素や栄養分を届けるために送り出され、届けると同時に細胞から排出された二酸化炭素や老廃物を回収して、静脈という道を使って心臓に血液を戻します。
この流れの中で、足を流れ心臓に戻る血液は、重力に逆らって心臓に戻らなくてはなりません。
そこで血液を戻すためのポンプの役割を果たすのがふくらはぎの筋肉なのです。
人間の下半身には全体の7割もの血液が集まっていて、ふくらはぎの筋肉が動くことで血液を心臓に戻します。
つまり血液を心臓に戻すには、ふくらはぎの筋肉を伸び縮みさせる必要があります。
これがなんらかの理由でうまくいかなくなるとふくらはぎで血液が停滞して足がむくみます。
立ち仕事やデスクワークなど、ずっと同じ姿勢の状態でいると、ふくらはぎの動きが少なくなり、筋肉の収縮作用によるポンプ機能がうまく働かなくなってしまいます。その結果、足の血液が心臓に戻りにくくなり、うっ滞してむくみに繋がります。
エアコンで温度変化のない環境の中で過ごしていると、体温を調節する発汗などの自律神経の働きが鈍くなり、水分代謝が低下し、むくみの原因になります。体の冷えは血行不良によるもので、足の毛細血管まで血液が循環しなくなります。そのため血液やリンパの流れが滞ってしまい、むくみにつながるのです。
飲食物がむくみの原因にもなります。塩分には水分を抱え込む性質があり、余分な水分をうまく排出できなくなり体の中に溜まってしまいます。アルコールは血管内脱水の作用があるため、飲みすぎると体の水分が失われ、血液濃度が高くなります。体は危 険を回避するために血管内に水分を取り込み、血液濃度を低くしようとします。この時に取り込んだ水分の一部がむくみとなります。またビタミン、ミネラル、たんぱく質の不足もむくみを招く原因になります。
女性は男性よりも筋肉量が少ないため、足がむくみやすい傾向にあります。筋肉量が男性に比べ少ない女性は、心臓に向かって血液を押し戻す働きが弱いのです。
マッサージやストレッチ、食事での塩分の摂りすぎや
アルコールの摂りすぎなどに気を付け、
適度な運動や体を冷やさないように気を付けてください。